26話 ページ32
深「康二くんって呼ばせてもらうね。俺のことはふっかって呼んでよ。で、さっきの返事は？」
向「へ？」
深「俺が、そのフィギュア取ってあげよっか？って」
向「…ええんですか？」
深「ふはっ、いいから声かけたんだよ。じゃあ、ちょっとそこ代わって」
俺は、康二と場所を代わり、アームを操作する。
少し時間がかかりそうだったので、その間に康二にある話をしようと思いついた。
深「ねえ、康二ってさ。Aちゃんのお友達なんだよね？」
向「友達…。…はい、そうですよ。ふっかさんは、Aちゃんとどんな関係なんですか？」
深「俺？俺はまあ…Aちゃんの幼馴染み」
向「幼馴染み…ですか。」
深「うん、そ。この間、2人が一緒に居るのを見かけたから、Aちゃんに聞いたの。そしたら、友達って言われたから、俺は康二のこと知ってたんだ」
向「そういうことやったんですか…」
深「単刀直入に聞くけど…。康二ってさぁ…Aちゃんのこと、好きでしょ？」
向「へ！？」
変に裏返った声と、びっくりしたような顔で、図星だということが分かる。
深「ふはっ、分かりやす。何で分かったん！？って顔してる」
向「そりゃあそうですよ！！何で分かったんですか！？」
深「だって、さっき友達って言われたって聞いたとき、落ち込んでたじゃん。意識されてないんだな…って」
向「そのとおりですけど…。ふっかさん鋭すぎません？」
深「え、そう？普通だと思うけどな〜。あと、Aちゃんは譲らないよ？」
向「…え？」
深「俺もAちゃんのこと好きだから。Aちゃんは渡さないからね？」
向「…これは、手強そうですね…」
深「まあ、幼馴染みだからね〜」
向「でも、俺も諦めませんよ。出来ることは全部します」
深「…それ、宣戦布告ってことでいい？」
向「はいっ！」
深「…そう。じゃあ、お互い頑張ろうね？」
向「そうですね。頑張りましょう！」
深「あ、もう取れるよ」
向「え！？ほんまや！すぐそこまで移動してる！」
そんな話をしている間に、フィギュアは落とし口のすぐ近くまで移動していた。
深「よし、これでいけるかな」
アームのボタンを押す。
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作者名：はる | 作成日時：2023年5月15日 20時
